こんにちは。心理カウンセラーのきーちゃんです。
何十年も人間をやっていると、どうしても離れられないものの一つに「不安」が挙げられると思います。
今回は仕事での不安について書きたいと思います。
はじめに
会議で自分の意見を言わなきゃいけない時って、とっても緊張しませんか?
私は緊張して手足が冷たくなります。
緊張の裏には「不安」が隠れていることも多いのです。
今回はこのような仕事の場面での不安について書いていきます。
ただこの記事は何冊かの書籍や論文を参考にしていますが、わかりやすさを重視して書いています。
もしかしたら皆さんが手に取った本とはちょっと違う言葉で書いてあるかもしれません。
実は不安の種類は2つ
不安の種類は、以下の2つに分かれると言われています。
①「社会的に死ぬんじゃないか」という社会的な死への不安
②「本当に心臓が止まるんじゃないか」という身体的な死への不安
それぞれ解説していきますね。
①「社会的に死ぬんじゃないか」という社会的な死への不安
- 会社にいる全員から見放されるんじゃないか
- 家族から捨てられるんじゃないか
- 自分の周りには誰もいなくなるんじゃないか
このような、周りの環境から捨てられることを、社会的な死と呼んでいます。
例えば会議の場面でぐるぐると考えてしまう時。
「意見を言わなきゃいけないのは分かってるけど、こんな事言ったら評価が下がるんじゃないか」
↓
「評価が下がったら会社に置いてもらえなくなるかも」
↓
「退職になったらお金が無くなる」
↓
「お金がなかったら家族も離れていく」
↓
「家族も仕事もなくなったらもう死んだも同然だ」
このように流れるようにぐるぐる考えるのが社会的な死への不安です。
つまり、社会の一員として要らないものとされることへの不安ですね。
②「本当に心臓が止まるんじゃないか」という身体的な死への不安
- 頭が真っ白になったからこのまま倒れるんじゃないか
- 心臓がバクバクしているから心臓が止まるんじゃないか
- 冷汗が止まらないから脱水症状で死ぬんじゃないか
このような、実際に身体に現れる症状を死亡に結びつけることを、身体的な死と呼んでいます。
例えば同じく会議の場面の時。
「意見を言わなきゃいけないのは分かっているけど、急に息が上手に吸えなくなってきた」
↓
「もうだめだ!息が吸えないからこのまま一生吸えないんだ」
↓
「息が吸えないなら心臓が止まる」
↓
「心臓が止まったら僕は死ぬんだ」
このように身体の機能が止まってしまうことを考えるのが身体的な死への不安です。
ただ、カウンセリングをしていると、社会的な死への不安を抱いている方の方が多いです。
不安ってわるいもの?
結論から言うと、不安は悪いものではありません。
人間が生きていくうえで必要なものです。
つり橋を渡る時にそーっと渡るのは、身体的な死への不安があるからですよね。
「このつり橋がもし落ちたらどうしよう」と不安になっているからです。
この不安が無ければ、もしかしたらつり橋の安全性を確認せずに渡って死んでしまうかもしれません。
不安はけっして悪者ではないのです。
ここで絶対に覚えておいてほしいことがあります。
「不安は必要な分だけでよい」
この言葉です。
不安は悪者ではないし、必要なものです。
でも不安を感じすぎると、日常生活に支障が出てくることがあります。
日常的に支障が出てくると、このようなことが起こります。
- 会社に行くと突然声が出なくなる
- 上司と話す時だけ記憶が飛ぶ
- 仕事の評価のことばかり考えていて夜眠れない
※日常生活に支障が出ている方はメンタルクリニックやカウンセリングなどの専門機関を頼ることをおすすめします。
余分な不安はどうして出てくるの?
そもそも不安とは、避ければ避けるほど余分な部分が増えていくものなのです。
例えば「会議で発言することへの不安があるから一切発言しない」とします。
この場合、会議で発言しないことで一瞬安心することが出来ます。
でもまた会議があった時に、さらに大きな不安が出てきます。
「また会議で発言しなかったら悪口を言われるかな…」
「会議で発言しないって社会人としてだめだな…」
「評価は会議の発言率で決まるのかな…」
などなど。
会議で発言しないことによって、余分な不安が増えていきます。
会議で発言しなかった日は安心できても、また会議に呼ばれる度に不安がどんどん増幅していくのです。
不安を減らすコツ
では、必要な分だけの不安と一緒に生きていくにはどうしたらいいのか。
余分な不安を減らしていくのです。
余分な不安を減らすためには「慣れ」がとても大切です。
初めて学校で国語の音読をしたときのことを思い出してみて下さい。
今、「同じ様に同じ内容を音読してください」と言われたらすんなりできる人も多いのではないでしょうか。
それは学校という場面で、大勢の前で言葉を発するということに「慣れてきたから」なのです。
同じく、会議で発言しないと決めるのではなく、会議に出て発言している方が「慣れ」によって、余分な不安は減らすことが出来ます。
会議が不安な場合、
1回目の会議よりも、2回目の会議の方が不安度が低くなる事が分かっています。
さらに2回目の会議よりも、3回目の会議の方が不安度は低くなります。
<不安は時間と共に必ず減り、回数を重ねるごとにピークは下がるという図>
つまり不安を減らしていくコツは「慣れていくこと」なのです。
段階的に慣れていこう
ここまで読んでくださった方の中にはこのように感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「理論は分かった!けど急に明日から頑張るなんて(´;ω;`)」
おっしゃる通りです。
会議で全く発言しなかった人が
「そうか!余分な不安を減らすために明日から会議でバンバン発言しよう!」
とは中々ならないですよね。
そんな時は、段階的に慣れていくことがおすすめです。
スモールステップとも言いますね。
例えば、会議で発言することへの不安が強い場合はちょっとずつ会議に慣れていきます。
関係ない時間に会議室の前を通ってみる
↓
誰もいない時間に会議室に入ってみる
↓
会議室でちいさな声を出してみる
↓
会議の日程や人数、議題を把握する
↓
会議に参加している自分をイメージしてみる
・
・
・
など、本当に小さなことから階段をつくって登っていきます。
「こんなに小さなことでいいの⁉」というぐらいでちょうどいいです。
このように段階的に少しずつ慣れていくと不安が少しずつ減っていきます。
不安と一緒に生きていこう
不安を無くすことは中々出来ません。
でも、余分な不安を減らすことは出来ます。
焦らなくていいのです。
ゆっくりゆっくり、不安との付き合い方を自分なりに見つけてほしいなと思います。
もし1人で躓いたらいつでも相談してください。
私でなくてもいいので、困ったら1回専門家にお話してみることをおすすめします。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (14件)
最近始まったプロジェクトの打ち合わせがすごく憂鬱でお腹痛くなっちゃうんですが、これは必要以上に心配しすぎてたからなんだなぁと腑に落ちました。
話す時間が増えると落ち着くので、これは慣れという日にち薬がわたしにも大切なのかもと思えました!
素敵なメッセージをありがとうございます!
素敵なコメントありがとうございます!
必要以上に心配し過ぎたり不安になると慣れていきたいところですが、無理はせずお過ごしくださいね
「こんなに小さなことでいいの⁉」というぐらいでちょうどいいです。の言葉に、少し心が軽くなったような気がしました。
慣れていく為に、小さな事からやってみようかなという気持ちになりました。
素敵なコメントありがとうございます。
本当に小さなことからでいいので、チャレンジした時に自分がどんな感情になるかなども観察しつつ、自分のペースでやってみて下さいね。
軍人上がり(アメリカ人なので)の偉い人が、営業に徹底的にロールプレイさせてFearless (恐れがない)状態を作る、って語っていたの思い出しました。スモールスタートが大事というのは気づきませんでした。ありがとうございます。
素敵なコメントありがとうございます。
ロールプレイはとても有効ですがストレス負荷も高かったりしますよね。。。
最初はとても小さな階段から登っていって「できた!」が増えていくと良いなぁと思います。
「できるようになったら不安もいつのまにか消えてるよ」と言われて「できるようになれる気がしない時はどうすれば…!?」と思ったことがあるのですが、「慣れが大切だから、スモールステップで慣れていくのがオススメ」と言われると、「慣れる(=回数をこなす)までは行けそう…!」と思えました。
自分なりのスピード感で、段階踏んで頑張ります。読ませていただきありがとうございました!
「慣れる(=回数をこなす)までは行けそう…!」と思えたことが素晴らしいですね!
ただ、回数をこなす内に「やっぱり前の方が安心…」とか「新しいチャレンジしてもだめだめだ…」と思ったりすることもあるかもしれません。
そんな時は筋トレの筋肉痛だと思って出来るだけチャレンジし続けられるといいかなと思います。
(※本当にどうしても難しい時は無理しないようにしてください)
仕事上の不安が沸き上がるってそれだけ真面目に向き合ってる証拠ですよね。
一度休職を挟んだことがありますが、その手前はそういう不安でいっぱいでした。
自分の場合は、意外と怒られても社会からはみ出ても人間ってなかなかしなないなと腹落ちしてからだいぶ生きやすくなった気がします。
世の中のルールと自分のルールとすみわけを上手くして、真面目な人の視野がどんどん広がっていきやすくなるといいですよね。
不安が湧き上がってくるというのが向き合っている証拠ということは私も今ハッとしました。
素敵なコメントありがとうございます。
カウンセリングでは「意外と死なない」ということを大事にしていたりもします。
ご自身で気付かれて生きやすくなったということが素晴らしいですね!
特定の事象や概念の捉え方を変えてみると落ち着いたりするのでカウンセリングってそういうところで役立ちそうですね!
色んなところですっ転んだ甲斐があります!笑
ありがとうございます!
予期不安が大きくなりやすいタイプです。
まさに飛び込んで離れしていくしかないというのは最近痛感してます。
会議を黙って凌いだ例の通り、
結局すぐさま動いたりまわりに助けを求めたり、不安で身体固まったら、固まってる場合うだうだして不安だ不安だ言ってる場合じゃない動くしかない!と腹をいかに早く決めるか、、だと実感とともに学びつつあるところです。
離れ▶︎場馴れ
の誤字です
素敵なコメントありがとうございます!
予期不安が強い場合は特になれることが大事になってきます。
身体が固まっている時に「身体のどの部分が動きにくいか」などにも着目できると完璧ですね!