「エージェント経由って書類が通過しにくいの?」採用経路による違いと傾向について

皆さんこんにちは、この間オープンチャットの質問に真面目に返事をしようと思ったら2600文字を超えてしまい、チャットで打つ文量じゃねぇだろと猛省しておりました。キャリア迷子管理人のさいとぅーです。

元々の質問はこんな感じのものでした。

エージェント経由だと驚くほど書類選考が通過せず、indeedで自分でいくつか応募してみたところ3社中3社全て無事書類選考が通過しました。あれ?エージェント???ってなっているのですが、エージェント経由と直接応募では何か違うのでしょうか???

結論、未経験の求人でこの現象はおこりやすいのですが構造的な理由があったりします。
求人は担当者や経営者によって考え方が違うものなので全てに当てはまるというものではないのですが、よくある構図でもあります。

この辺は人事畑を経験していないとなかなか触れる機会が無いので折角なので今回はまとめてみる事にしました。

目次

人事から見ると求人媒体とエージェントは通過率は変わらない?

色々な人事の方ともお話をさせて頂き、自分自身も人事をやっていた経験からの意見なのですが、意外とそこまでエージェント経由かどうかで選考を通過をさせるかどうかの判断はしていないという声の方が多かったです。

じゃあ直前に言っている話と違うじゃねーか

と思うかもしれませんが、実はそうなのです。

募集対象や採用人数規模によってこの辺は大きく変わってくる部分でもあるのですが、あくまで採用の目的は「自社の欲しい人材を採る」だからです。

例えばあなたが人事担当だったとして、
①スキルや人柄的には今一つだがハローワーク経由で無料で応募をしてきた人材
②スキルや人柄は自社の求める人物像にフィットしているがエージェント経由で年収の30%支払う必要がある人材

どちらを選びますか?

経費的に考えても、エージェント求人は年収の30%前後が相場です。

この金額は経費単体で見ると大きいですが、人件費として見た場合「3~4か月雇用したら消し飛ぶ金額」でもあります。3~4か月で①と②のギャップを埋められるかと考えるとなかなか難しそう。


そのため、選考段階まで来ると優先度は安い経路かどうかより自社の欲しい人材とマッチしているかどうか。となります。

しかし、矛盾するようですがエージェント経由と媒体経由での応募では通過率に差が付き、多くの場合媒体経由の方が通過率が高いです。

そもそも応募経路によって世の中に出てくる求人自体が違う?

なぜ人事目線だと採用に差を付けないのに、応募経路によって通過率が変わるのかというと、そもそも出ている求人が違うから。という点が大きいです。

まず世の中にどのような応募経路があるのか整理していきましょう。とはいえあまりにも種類が大きすぎるので、メジャー所をいくつかピックアップします。

①有料職業紹介(エージェント)
②有料求人媒体(マイナビ転職など)
③無料求人媒体(indeedなど)

今回取り扱うのはこの3種類です。
その他スカウト求人だったりイベント型だったりと様々な手法はありますが、今回は課金形態に着目してお話をします。

①有料職業紹介は、完全成果報酬型の採用が決まった際に費用が発生するモデル。
②有料求人媒体は、掲載するだけで費用が発生するモデル。
③無料求人媒体は、掲載するだけでは費用が発生しないモデル。
として取り扱います。
この辺りは混合型も結構あったりするので更に複雑さが増しますが、その辺は追い追い紹介するかもしれません。しないかもしれません。

有料職業紹介(エージェント)型求人の特性

長くなるのでエージェントと記載します。

エージェントのビジネスモデルは、求人を募集したい企業から求人を預かり、自社で集めた人材を紹介して、入社に至った場合に費用を請求するというものです。

冒頭にも記載しましたが、相場は年収の30%前後で業界や職種によっても変わってきます。

このエージェント型募集の求人を募集する企業側の一番のメリットは「費用が固定される」という事です。

そもそも人材募集というのは水物で、

「欲しい人材を募集した!採用出来た!ヤッター!!!

と簡単にはならないのが常です。

募集する企業側も、
「この部署のこの役割を任せるためにはどのような人を採用するべきだろうか?」
「どのような経験を持っている人がその人物像に当てはまるだろうか?」
「求人にはどのような書き方をするとそういう人物が応募してくれるだろうか?」

と、いざ募集する段階でもこのように悶々とした夜を過ごしながら求人を作りこんでいきます。

人事

どういう人を採用するか決めたら、次は予算取りと求人の出し方を決めないと。

さて、いざ求人を募集する事を考える時、一般的に企業が採用活動を行う際はまず予算を考えます。

勘違いしている方もよくいらっしゃいますが、予算というのはただ単純に費用だけの事を指す言葉ではありません。

”予め算段を立てる事”を指すので、「いつまでに、何をすると、どれだけの費用が掛かって、どのような結果になるか」
というような採用全体の段取りを立てる事を考えます。

ここで何となく皆様もお気づきだと思いますが、求人は特にどうしたらいつまでに採用したい人が来るかがわかりにくいものです。

となると費用がいくらかかるかわからない。というのは困りものです。そこで出てくるのがエージェントです。

エージェントは成果報酬型の求人なので、いつまでに人が採用出来るかわかりませんが、少なくとも採用に掛かる費用がいくらかは事前にわかります。

そういったわけで企業が採用をする際に比較的選びやすい手段であるのがエージェント経由の採用です。

また応募する側の人から見ても、良い人が見つかるまで募集をし続けるという点と、掲載自体に費用が掛からないという点から、求人数の絶対数が多くなりやすいのもエージェントの特徴です。

そのため求人をより広い選択肢から選びたい場合はエージェントを利用するのも手ではないでしょうか。

しかし、企業側から見た際に、成果報酬型である反面デメリットとして、
「どれだけの応募が集まるかを誰も保証してくれない」という問題が挙げられます。

部署の重要な業務で人が辞めてしまったり、新しい案件の拡大で人が不足して困っている時に、いつ採用出来るか見通しが立たないというのは困りものです。

そういう時に選択をされやすいのが有料求人広告媒体です。

有料求人媒体型求人の特徴

有料求人型媒体。マイナビやリクナビを筆頭に発展した手段なので私はナビ媒体ともよく呼ぶのですが、求人広告を掲載するサイトを指します。

これらはエージェントに対して月額での掲載費用を支払い、求人広告を載せてもらうタイプの求人となります。
費用が固定されるエージェントに対する特徴としては、ある程求職者の求人閲覧が保証・予測できるという点です。

厳密には媒体社は閲覧数を保証はしてくれませんが、メディアの登録数や求人の枠・職種等によって出稿前にある程度のシミュレーションが可能です。また、エージェントの求人が待ちの求人だとすれば、ナビ媒体は攻めの求人とも考える事が出来ます。

考える事が出来るってだけでこう呼んでいる人はあまり見ないので他所で使うときは気を付けてください。

さて、ナビ媒体の掲載費用は大体いくらぐらいなのでしょうか。これは求人媒体社や代理店との交渉で多少増減したりもするのですが、以下サイトを参考にしてマイナビの費用を見てみると大体このあたりです。dodaやリクナビなどの大手メディアの多くも大体こんな感じです。

ネオキャリア:マイナビ転職の掲載料金|特徴・オプションやキャンペーン情報を解説

掲載順位を上げたい。求人の文章をもっと増やしたい。画像を使って訴求したい。という企業はプランを高くしていく必要があります。下から二番目のプランを使ったとしても月額35万円程が掛かると考えると、ナビ媒体への掲載の費用もなかなかバカになりません。

しかし、エージェントに募集を出してもウンともスンとも言わない。複数人採用したいけど応募数が足りない。もっと幅広い人からの募集を集めたい。という企業はこちらの求人を利用します。

その結果どうなるかというと、

エージェントに求人を載せている企業よりもナビ媒体に掲載している企業の方が積極的な採用をしている可能性が高い
≒書類通過率が高い可能性がある。


という現象が発生します。

人事

先月採用出来なかったから今月も課金だ・・・!!!

毎月能動的に出稿している求人だけが載っているのがナビ媒体でもあるので、そういう意味で攻めの求人をしている企業達でもありますね。



こんな感じでエージェント経由だからお金が掛かるから通過率が低い、という理由とはむしろ反対側の別の理由で、エージェントと求人サイトの募集の通過率に違いがある可能性があります。

もちろん様々な要素を勘案する際に、エージェントもナビ媒体も同時に掲載をしている企業が、「ナビ媒体から十分な募集が集まっているのであれば、エージェント経由の人の優先度を下げる」というのは現実的にはあり得ますが、可能性としては低く、そこまで気にするものでもないかなと思います。

未経験と事務職は有料求人媒体を使った方が良い?

私は特に事務職希望の方はナビ媒体経由での応募を勧めています。その一番の理由が、求人を掲載した際に応募される人数の違いです。

例えば以下の人を募集する場合、ナビ媒体で募集する際どれぐらいの応募が見込まれるでしょうか

①法人営業経験5年以上でSaaS商材の提案経験があり、後輩指導もできる人
②事務職未経験でこれから事務職になりたい人

どちらも同じ月額35万円で募集をしたとして、①の応募はおそらく1か月で3~5件程度の応募。

一方②の事務職未経験募集だと、求人の書き方や条件にもよりますが20件以上集められるかもしれませんね。

有料求人媒体は毎月募集に掛ける費用が同じでも、募集する対象が違えば最終的に掛かる費用が全く変わってくる媒体でもあります。

その中でも特に、事務職の募集はめちゃくちゃ集まりやすい求人です。

事務職の有効求人倍率は0.35倍とも言われ、1つの採用枠を3人で奪い合う激戦区にもなっています。
これは、3社応募すればどこかに入社できるという意味ではなく。どれだけ就活をしても3人中2人は仕事に就けないという意味の数字です。

これだけ集まりやすい事務職であれば、成果報酬型のエージェントに頼まなくても、ナビ媒体で募集をした方が安く早く集まるのでエージェントを使わない方が採用企業側からするとメリットがありそうです。その上であえてエージェントを使うのであれば、前述した費用が固定化されるメリットを重視していたり、採用する対象を厳選したい場合などにメリットがありそうです。

ということは逆から考えると、応募する側はエージェント経由での応募は厳選したい求人にあたる可能性が高く、書類の通過率が落ちる可能性がある。という事にも繋がります。

このように、自身が応募したい企業群が業界・業種的にどういう立ち位置なのか。によって選ぶべき応募経路は大きく変わってきます。

ちなみに同じ事務職としてくくられる経理職のマネージャークラス(決算業務までの業務一連の管理と部下育成が出来るレベル)になると途端に色々な企業が欲しがるが募集しても全く見つからない(転職活動をしている人が市場に居ない)からエージェントで募集をする。みたいな状況も多々あるので、今回の事務の話は一般事務・営業事務ぐらいの範囲で聞いてもらえた方が無難かなと思います。

無料求人媒体型求人の特徴

要するにindeedとか求人ボックスを指します。

厳密に言うと、「無料でも掲載できるが目立ちたかったら課金しろ」型求人です。
そういう意味では有料型メディアと特徴は大体同じなのですが、加えて特徴があります。

ここはかなり癖が強いサイトで「キュレーションメディア」という側面を持ちます。
要するに、ネット上にある求人っぽい情報をロボットが勝手に集めてきているサイトです。

何故これをやるかというと、Google検索で上位に表示される事を狙うSEO対策で、あえて頭悪い説明をすると、「世の中にある全ての求人を集めてまとめて掲載しておけば、検索した時に絶対にどの媒体よりも引っ掛けやすいジャン!」という思想のもと作られたサービスです。※SEOもindeedが取っている戦略も本当はそんなに簡単じゃないですが笑

そういう風にサイト自体を検索で引っかかりやすくしてユーザーを集めた場所に、企業が直接求人を載せる事が出来るサービスとなっているのがこのindeedや求人ボックスのような無料求人となっています。

結果的に非常に多くの求人があるので、「ここにある求人はこういう特徴がある」みたいに区切るのは難しいのですが、直接掲載されている求人には一部特徴があります。

エージェントを利用したり、有料メディアを使わずあえて無料掲載を選んでいるという事は、採用に対する予算を割けていない可能性があります。
前述した通り、indeedを用いた有料課金をしている場合もあれば、他求人の引用が掲載されている場合もあるのであくまで一部特徴として捉えてください。

採用に対する予算が割けていない場合、予想されるのはネガポジ合わせて2点あります。

採用優位性が低く人が集まりにくいから倍率が低い⇒内定を取りやすい。

採用に割く予算が無い低収益企業なので給料が上がりにくかったり経営が安定していない可能性。

あくまで可能性ですが、企業の行動には戦略があり背景があります。
あえて無料求人を選ぶという事はそこに目的や理由がある事を覚えておくのも大切なことかもしれません。

また、加えて少しだけネガティブ寄りの情報なのですが、indeedや求人ボックスはエージェントや有料メディアと違ってサービスに担当者が付きません。そのため、求人そのものに問題があったとしてもそれをチェックする人が居ません。(AIが自動的に判別するシステムになっていますがやはり目視×コミュニケーションとはだいぶ違います)

例えば、「営業担当で募集をしたいが人が集まらないから事務職で募集を出して、応募が来た人を営業職で採用する」
という採用手法。いわゆる釣り求人は通常の採用手法だと弾かれますが、これら企業が直接求人を作る事が出来るindeedなどの媒体ではそのまま通ってしまいます。

また、メディア側の採用トラブル時の窓口なども実質無いようなものなので、内定条件のすり合わせ等の部分で入社後トラブルになったという例もいくつか報告を受けています。

採用というのは意外と法律で縛られている事が多いのですが、そういう情報に関する情報源は今までエージェントやナビ媒体の担当者が担っていた部分があります。

しかしindeedなどで企業が直接掲載をする事が出来るようになり、そういう情報を人事側が仕入れる事が出来ずリテラシーを上げる機会が少なくなってしまうというのも要因に思えます。

この辺の転職活動時の注意点は別の記事でいつかまとめたいなぁと思っています。
このペースだと遥か未来になりそうですが気長に待ってください。。。^q^

まとめ

長くなっちゃったし話があっちこっちに行ってしまったのでざっくりまとめます。

・採用企業側としては、経路よりも自社にマッチしているかどうかで採用可否を決める事が多い。
・エージェントは決められた予算で厳選して採用するときに使いがち
・有料メディアは積極採用している企業が使いがちなので書類通過率高そう
・無料メディアは露出する予算が少ない企業が使いがちなので競争が弱く内定率高そうだが色々気を付けた方が良い。

こんな感じかなーと思います。

あくまで傾向だったり、こういう事が予測される。だったり、可能性がある。みたいに、断定が出来ない事ばかりなのですが、考えられる可能性は多いに越したことがないなと思って今回まとめました。

企業にとって採用はマーケティングであり、様々な戦略を取ります。この辺は各社が色々な手法を試行錯誤しながら日々変わっていく領域なので、正直な話、断定的に言えることはありません。ただ、常に企業側の目線を考えておくと、見えてくるものもあるよー!という事が伝えたいなと思ってます。

こんな場合はどうなの?とかキャリア迷子のオープンチャット内で気軽にご質問ください。

個別相談もゆるゆると受け付けてますのでこちらもご気軽にどうぞー。

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この記事を書いた人

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コメント

コメント一覧 (11件)

  • 応募経路の形態がよくわかりました。
    ありがとうございます。
    やはり、事務職の有効求人倍率は依然として低いですね。
    最近は、今までの経験職種の中から事務職以外の職種を考え始めました。

    • 大手事務職の多くを派遣会社が確保しちゃっているみたいな現状もあるので、事務職としてのキャリアを作るためには派遣会社の正社員を目指すというのも一つの手だったりします。

  • エージェントばっかり使ってて情報収集力とかにはお世話になっていたのであまり気にしてなかったですが、単純に直接応募が有利とかそう言うわけではないのはよくわかりました。
    そしてこういう単純でないモデルへの理解ってツイッタランドだけではあまり出回らない感じもしてます。

  • まさに既卒の頃にindeed経由で入社した会社が零細で、イラストレーター募集だったのに通販サイト運営にされました笑
    小さい会社で人手不足だったので最初から釣り求人とも言い切れませんが、この手のサイトは未経験でも無ければ止めといた方が良いと思います。1番良いのは知人の紹介ですね。

    • 「防ごうと思えば防げるけれど、リテラシーや交渉力が無いと防ぎきれない場合がある」
      っていう感じのバランス感覚なんですよねー。なのでそういう労務系のリテラシーが無い、自身が無い方は避けるのも防御手段の一つだなと。
      夜道に暗い所を一人で歩かない的な。

  • 自己応募でよさげな求人を嗅ぎ分ける力がポンコツすぎる自覚ありますが、ナビ媒体ちゃんと使えば良さそうと思いました。さいとぅーさんに頼るのもありか。
    もちろんこれから自分がお世話になることは遠い先の話と思いたい、、、

    • ナビ媒体とエージェント求人の求人そのものの文面の違いの傾向にもいつか触れたいですねぇ。。。

  • 毎度ながら本当に勉強になります
    もう転職する!何がなんでもする!
    ってなったら、この記事を復習しにきます。

    ありがたいことに
    このコミュニティのおかげで
    わたしの心理的安全性は担保され
    今の会社で頑張る元気が
    わいてきました☺️

    • 「転職をすることもできるししないこともできる。その上で私は現職で頑張る事を選ぶ」
      みたいに、転職のノウハウをきちんと持っているからこそ今の仕事に集中できるって事もあるとおもうのです

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